【シン・ゴジラ】2016年公開の日本映画。東宝製作のゴジラシリーズの第29作品目。『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラ映画。
目次
映画情報
監督はあのエヴァンゲリオンで有名な庵野秀明がメガホンをとる。新たなゴジラの造形はもはや恐竜然とした怪獣ではなく、虚構という名にふさわしい畏怖としての対象として描かれている。人間はこの災厄をどう切り抜けるのか。
キャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」
2014年のハリウッド版「GODZILLA」を上回る体長118.5メートル。歴史上最大のゴジラは圧巻の一言に尽きる。リピーターが続出して社会現象とも呼べる大ヒットを記録した映画。興行収入は82億円を超え、第40回日本アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか7部門で最優秀賞を受賞した。
原題:シン・ゴジラ
上映時間:119分
監督:庵野秀明・樋口真嗣
出演者: 長谷川博己(矢口蘭堂)、竹野内豊(赤坂秀樹)、石原さとみ(カヨコ・アン・パタースン)、大杉漣(大河内清次)、野村萬斎(ゴジラ)ほか
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あらすじ1/8「海中の異変」
東京湾・羽田沖に漂流していた一隻のプレジャーボート。海上保安庁は「グローリー丸」と書かれたそのボートを発見し調査すると中は無人でした。船内にあるのは折り鶴と宮崎賢治の詩集「春と修羅」だけ。
その時、爆発音が鳴りひびいて船内が大きく揺れたのでした。
首相官邸では官僚たちが召集され、緊急会議が開かれました。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)が、海底に巨大な生物がいる可能性があると進言しますが、相手にされません。テレビの速報で海から巨大な尻尾のようなものが現れたことでようやく政府関係者は生物学の専門家を呼びます。しかし専門家でもそれが何なのか誰にも答えられませんでした。
あらすじ2/8「上陸した巨大生物」
巨大生物は、海から移動してついに東京の蒲田に上陸します。その姿は目がぎょろりとしたトカゲのような生物で、前足がなく地面を這うように進んでいました。そして首のあたりからは血液のような液体を垂らしていたのでした。
時速13キロで巨大生物は街を這い、被害は拡大していきます。政府はこういった事態を想定しておらず、何もできずにいました。
脅威の進化力
巨大生物の動きが止まりました。あたりは静寂に包まれます。微動だにしない巨大生物。しかし次の瞬間、体が変異するのでした。巨大生物はその場で立ち上がると、二足歩行をするまでに進化したのです。
一方、ようやく重い腰を上げた政府は戦後初となる武力行使命令を出しました。すぐさま自衛隊が出動して巨大生物の頭部を集中砲撃するべく狙いが定められました。しかし、近くに人影が見えたため砲撃は中止となりました。巨大生物は雄たけびを上げると東京湾へと消えていくのでした。
あらすじ3/8「巨大生物の正体はゴジラ」
巨大生物が練り歩いた跡から放射性物質が確認され、すぐさま内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)たちは対策チームを発足させました。
米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が矢口を訪ねてきます。カヨコは巨大生物の発生を予言していた牧悟朗(まきごろう)という人物を探してほしいと言いました。
矢口率いる対策チームは見つけらなかった牧悟朗のかわりに彼が所有していたプレジャーボートに残されていた情報をカヨコに渡します。カヨコは、引き換えに巨大生物に関するある資料を矢口に渡すのでした。
「GODZILLA」と書かれたその資料はアメリカエネルギー省(DOE)のコードネームでした。このコードネームは牧悟朗が名付けたもので、彼の故郷では「神の化身」という意味をもつ言葉でした。矢口はそれにあやかり巨大生物を呉爾羅(ゴジラ)と名付けたのでした。
ゴジラという生物が生まれた謎
60年前、各国では放射線排出物の無秩序な海洋廃棄が行われていました。アメリカエネルギー省(DOE)はある時、放射線廃棄物をエサとして食べている生物が存在していることに気づきます。そしてアメリカエネルギー省が調査を依頼したのが、当時アメリカに渡っていた牧悟朗でした。
牧悟朗の調査結果では、太古から奇跡的に生き延びた海洋生物の生息地に大量の放射性物質が廃棄されたせいで、この海洋生物の細胞に変異が起きたのではないかというものでした。
ゴジラは地球上最も進化した生物だった
牧悟朗が残した遺品の中からゴジラに関する一枚の紙の資料が発見されました。矢口たちは解析するも解読できませんでした。
ゴジラの肉片から未知の元素が検出されました。ゴジラは一個体で劇的に進化を遂げることができる驚異の生命体でした。人類の8倍もの遺伝情報を持つゴジラは地球上で最も進化した生物といえます。アメリカはこの人知を超えたギフトを研究するため、日本政府に手を貸したのでした。
矢口率いる対策本部はゴジラのある性質に気づきます。それはエネルギー源です。あれほどの巨体を動かすには体内に原子炉のような動力源があるはずです。第二形態の跡から放射性物質が検出されたことからもその可能性は濃厚でした。さらに背びれのヒダは膨大な熱を逃がすためにあると考えられます。
この膨大な熱エネルギーを冷ますためには背びれだけでなく、体内を流れる血流を冷却機能として循環させている可能性が高いのです。大量の血液凝固促進剤をゴジラの体内に投与できれば冷却システムが停止してゴジラを凍結させられるかもしれません。
究極の生物ゴジラ誕生
ゴジラが海底から現れたと報告がありました。場所は鎌倉。ゴジラは以前あらわれた時よりもかなり大きくなっていました。形態もさらに進化を遂げており、その風貌は見る者に畏怖を覚えさせます。
近くにいた一般人は逃げ惑うしかありません。建物を破壊しながら東京都心へ向かうゴジラ。自衛隊がただちに出撃して戦闘機、軍用ヘリ、戦車から一斉砲撃がおこなわれます。
しかしダメージを受けていないゴジラ。そこに米軍戦闘機がミサイルを投下してようやくゴジラは少しダメージを負った様子で進行方向を変えたのでした。
ゴジラの予想進路には、避難がすんでいない一般人が多くいました。そしてその進路の先には首相官邸もあります。総理(大杉漣)はヘリで緊急避難しようとしますが、ゴジラに撃墜されたのでした。政府はようやく事の事態を重く受け止め、米軍への正式な協力要請を出します。
そして米軍による総攻撃が始まりました。爆弾投下が次々とおこなわれ、ゴジラは苦しみだします。
ゴジラは背びれから突如、紫色の光線を出しました。いくつもの鋭いビーム光線はビルをも両断して米軍の戦闘機に命中して撃墜していきます。
ゴジラの口元が裂けはじめ、その大口からは爆風と炎が無尽蔵に放出されました。東京は一瞬で火の海と化したのでした。ゴジラの口から放たれる炎はやがてキリキリとした金切り音とともに収束していき、1本の鋭いビームとなって米軍を打ち落としていきます。
さらには、しっぽの先端からもビームが放たれました。その姿はもはや生物の範疇を超えた虚構そのものでした。
あらすじ4/8「絶望の日本が取るべき選択」
ゴジラは急激なエネルギー消耗からその場で眠るように動きを停止しました。
甚大な被害を負った東京。政府関係者や対策チームからも安否不明者が続出します。
各国の思惑
一方、中国、ロシアを中心にゴジラを合同管理下に置こうとする動きがありました。日本政府はゴジラの研究を日米で行うことを選択して対策チームにアメリカの調査団が合流しました。
ゴジラには接近する戦闘機などを察知するレーダーのような器官があり容易には近づけません。さらにゴジラは単体だけで増殖できるという見解がアメリカ側からありました。このままではねずみ算式に個体数が増えていき、やがては飛翔して大陸を越える可能性もあります。
アメリカはゴジラの大陸上陸に危惧し、弾道ミサイルによる核攻撃を行う決議が出されていました。カヨコは矢口にこのことを伝えると、矢口は怒りました。カヨコにも退去命令が出ていたが、カヨコはそれを拒否していました。私の祖母を不幸にした原爆。それをこの国に3度も落とす行為を私の祖国にさせたくないと言いました。
あらすじ5/8「矢口たちの最後のあがき」
日米首脳会議がおこなわれ、今後日本はアメリカの指揮下に入ることが決定しました。米軍を中心とした多国籍軍結成を国連安保理で決議されたのでした。
このままでは、日本に核ミサイルが落ちてしまいます。矢口たちは凍結プランを再考するように要請しますが、内閣官房長官代理・赤坂(竹野内豊)から不確定要素が大きすぎると指摘されてしまいます。
赤坂は言います。
「多国籍軍による核攻撃を容認することで全面的な復興支援を世界各国から約束されている。ゴジラがいなくなった後の日本の未来を考えると受け入れるしかないんだ。」
矢口は反論しました。
「まだ被害は東京だけに留まっている。自国だけでの復興も可能だ。しかし核を使えば、それも難しくなるんだ。」
赤坂が返しました。「今は国際社会からの同情が必要だ。この国を救う道は他にない。夢ではなく現実を見て考えろ。」
残された時間はあと15日
矢口は対策チームに戻り、現状を報告しました。ゴジラが再び動き出すまでには15日ほどかかるはずです。まだ時間はある。なんとしてでもゴジラを止めなければ。核攻撃がおこなわれる前に。
あらすじ6/8「牧悟朗の真実」
牧悟朗の過去ついて新たな報告がありました。牧悟朗元教授は妻を死に追いやった放射性物質を憎んでいたそうです。そして放射性物質を無害化するべく研究に没頭していたのでした。
しかし次第に牧悟朗の憎しみは放射能を生み出した人間に向けられるようになったそうです。そして妻を見殺しにした日本という国をも憎むようになっていたのでした。
「私は好きにした。君らも好きにしろ。」
彼が最後に残したメッセージです。
矢口はぼそりと言いました。「彼は何を好きにしたんだ‥?」
隠された折り鶴の秘密
牧元教授のボートに折り鶴が不自然にあったことから、対策本部は資料を折り紙のように折ってみます。すると新たな解析パターンが判明し、資料の解読に成功したのでした。
解析表を世界各国の研究機関に送り、協力を仰いだことで高抑制剤を同時に投与できれば凍結プランがゴジラに有効であることがわかりました。
牧悟朗の残したメッセージ
屋上にて。矢口が言いました。
「牧元教授はこの事態を予測していた気がする。
彼は荒ぶる神の力を解放させて、試したかったのかもしれない。
人間を、この国を、日本人を。核兵器の使用も含めて、どうするのか、好きにしてみろと。」
カヨコが返します。
「そうね。けど、この国で好きを通すのは難しい。」
「ああ、僕一人じゃな。」
あらすじ7/8「ヤシオリ作戦開始」
矢口の考えた凍結プランを「ヤシオリ作戦」と名づけて矢口たちは準備に奔走しました。
ついにゴジラが動き出しました。
そしてギリギリの時間の中、「ヤシオリ作戦」は決行されたのでした。
作戦①無人戦闘機での攻撃
まずゴジラのエネルギーをできるだけ放出させるため、無人戦闘機による攻撃が始まりました。ゴジラは背びれから紫色のビームを無数に放射し、あたり一帯を破壊していきます。口や尻尾からもビームを放射するゴジラ。
作戦②高層ビルの爆破
ゴジラの動きが鈍くなってきた頃合いを図って、周りにある高層ビルをゴジラに向けて崩壊させます。ゴジラは崩壊するビルに押され、転倒したのでした。
作戦③ポンプ車で凝固剤を流し込め
すかさずポンプ車とタンクローリーの部隊がいっせいに集まり、ゴジラの口の中に血液凝固剤と高抑制剤を流し込んでいきます。目標値の4割を達成したところで再びゴジラは起き上がってしまいます。
作戦④無人在来線爆弾
矢口は冷静に次の指示を出します。JR各路線を総活用し、ゴジラの足元へ爆弾を大量に載せた無人車両を突撃させました。
無人在来線爆弾が次々と命中し、大爆発がゴジラを襲います。ゴジラは再び倒れこみ、その隙を逃さずポンプ車によってすぐさま凝固剤と抑制剤を流し込まれたのでした。作戦は成功です。投与量100%を突破しました。
しかし、それでもなお立ち上がるゴジラ。やはりだめなのかと思われた次の瞬間、ゴジラは立ったまま停止してそのまま凍結したのでした。
核攻撃までのタイムリミットは残り1時間を切っていました。矢口たちは勝ったのです。
あらすじ8/8「ゴジラの残した遺産」
東京は壊滅的な被害を受けたものの、なんとか核攻撃だけは阻止できました。ゴジラの放出した放射能は特殊なもので半減期がわずか20日であることが判明します。
未知の元素。人類の8倍もの情報を持つ遺伝子サンプル。そして放射能汚染の低い新たな核エネルギー。ゴジラが残したものは巨大で、これからも日本はゴジラと共存していかなければいけないのかもしれないと矢口は思います。
矢口とカヨコはお互いをねぎらいました。そしてカヨコは言います。
「やめないでね。私が大統領になった時、あなたが総理なのが理想的なビジョンだから。」
矢口は返しました。「理想的な傀儡(かいらい)だろ?」
笑いあうふたり。
東京の真ん中で凍結したゴジラ。その尻尾の先には人型らしき異形の何かが映っていました。
~観終わった後の感想~
前作のFINAL WARSは本当にひどかったので、今作で見事返り咲いたという印象です。歴代シリーズの中でもこれほどまでゴジラの存在に恐怖する映画はなかったんではないでしょうか。新たなゴジラ「シン・ゴジラ」の名にふさわしい映画です!
今までのゴジラは、恐竜の突然変異的な感じで描かれていたんですが、このシン・ゴジラは違うんです。進化の到達点というか、生物を超えた生物というか、神や人知を超越した厄災として描かれているんです。シン・ゴジラの「シン」には「新」「真」「神」という意味合いが含まれていたのではないでしょうか。それほどまでに想定を超えたゴジラでした。お見事です!
【シン・ゴジラ】徹底考察まとめ①!ラストの尻尾の意味とゴジラ全8形態を紹介!