これまでのウルトラマンシリーズを一新し、興行的に大ヒットを記録した『シン・ウルトラマン』。
国内外ともにコアな評価を受けている本作ですが、一方で専門用語や難しい話もあり、よくわからなかったという意見もあります。
このページでは、そんな数多くの謎を残した『シン・ウルトラマン』に関わる考察、解説を雑学15選にまとめてご紹介していきます。
※ネタバレを含みますので鑑賞前の人はご注意くださいね。
目次
- ➀【速報】現在の興行収入は43億円を突破!最終着地点は44億円か?
- ➁【庵野秀明】は監督じゃない!シン・ウルトラマンでの役割とは?
- ➂【海外の反応】シン・ウルトラマンの評価はどうだった?
- ➃【カラータイマー】がない理由は原作リスペクトからだった!
- ➄【ベーターカプセル】で変身できる仕組みを解説!
- 【4コマで解説】ベーターカプセルで変身できる仕組み
- ➅【ゼットンの大きさ】を画像で比較!天体を制圧できるほどの威力とは?
- ➆【ゼットンの倒し方】はベーターカプセルにあった!全貌をネタバレ解説
- ➇【メフィラス星人】セリフ集!クセになるメフィラス構文を紹介
- ➈【ガボラとネロンガとパゴス】が似ているのはあの怪獣が進化したから?
- ➉【ザラブ星人】が薄い?背中を視認できないって本当?
- ⑪【ゾーフィ】とゾフィーの違いって何?原作から名前が変わった理由
- ⑫【ゾーフィ】は敵?ゼットンとの関係や体が金色なのはなぜ?
- ⑬【高橋一生】はどこで出演している?実はゾーフィの声を担当していた!
- ⑭【長澤まさみ】が巨大化?!その真相とは?
- ⑮【竹野内豊】も出演!シンゴジラと同役を演じたつながりとは?
➀【速報】現在の興行収入は43億円を突破!最終着地点は44億円か?
この記事を書いた2022年8月4日現在(公開84日目)までの『シン・ウルトラマン』興行収入は43億円を突破しました。観客動員数は約270万人を超え、2022年度邦画実写映画で堂々のNo.1を記録しています。
https://twitter.com/eigarankingnews/status/1555182799577313284
8月4日以降は上映終了となる劇場が多いので、『シン・ウルトラマン』興行収入は最終的に44億円ほどに落ち着くのではないかと思われます。
10億円の興行収入を超えれば、まずまずのヒットと言われる邦画業界において『シン・ウルトラマン』は間違いなく大ヒットと呼べる作品になりました。
➁【庵野秀明】は監督じゃない!シン・ウルトラマンでの役割とは?
庵野秀明氏がシン・ゴジラに次ぐ「シン」シリーズとして制作することで話題となった『シン・ウルトラマン』ですが、実は庵野秀明氏は本作での監督じゃないということを知らない人も多いのではないでしょうか。
庵野秀明さんはシン・ウルトラマンの他に現在『シン・仮面ライダー』の制作に取り掛かっています。
多忙を極める庵野秀明さんは『シン・ウルトラマン』での監督を担当することがスケジュール的に出来なかったため企画・脚本と総監修を務め、監督には樋口真嗣さんが担当することになりました。樋口真嗣さんは庵野秀明さんと古くから交流があり、『シン・ゴジラ』でもタッグを組んだ信頼できる相棒です。
また樋口真嗣さんは『シン・ウルトラマン』制作にあたり、庵野秀明の脚本を寸分違わず作り上げることを念頭に置いて制作したそうです。『シン・ウルトラマン』はそれほど信頼しあっている二人だからこそ生まれた傑作なのかもしれませんね。
➂【海外の反応】シン・ウルトラマンの評価はどうだった?
国内では大ヒットを記録した『シン・ウルトラマン』ですが、海外の反応はどうだったのでしょうか。以下にまとめてみました。
海外の反応まとめ
海外では好意的な意見と批判的な意見の賛否両論という反応でした。
中でもCGが安っぽいというコメントが多くありましたが、『シン・ウルトラマン』では特撮への愛から、あえて着ぐるみ感を少し残しているとの話もあるようです。
海外では日本のような特撮文化がないところも多く、初代ウルトラマンや特撮へのリスペクトが理解できないのかもしれませんね。
有名ハリウッド監督もTwitterで続々反応!
ギレルモ・デルトロ監督の反応
『パシフィック・リム』などで有名なハリウッド監督ギレルモ・デルトロさんが『シン・ウルトラマン』公開に合わせ、歓喜の声をTwitterで上げ、注目されました。
Ay, ay, ay Dios mio- Gloria bendita- https://t.co/cRSFoA1bo5
— Guillermo del Toro (@RealGDT) May 27, 2022
ギレルモ・デルトロ監督は『うる星やつら』『ウルトラマン』などの日本アニメ・特撮の大ファンとして有名で、『シン・ウルトラマン』の公開に対して歓喜の声をあげています。
ジェームズ・ガン監督の反応
『アベンジャーズ/エンドゲーム 』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』などで有名なジェームズ・ガン監督も『シン・ウルトラマン』予告映像に対し、喜びの声をあげ、自身のインタビューでも発言しています。
『ジェームズ・ガン監督インタビュー』より抜粋
僕の監督としてのスタイルには日本やアジア文化の影響が色濃く反映されているんだ。
シン・ウルトラマンは超楽しみで早く見たくて仕方ないよ笑!
ハリウッド監督や世界中から注目されている『シン・ウルトラマン』。いつかゴジラのようにハリウッドで映画化される日が来るかもしれませんね。
➃【カラータイマー】がない理由は原作リスペクトからだった!
本作におけるウルトラマンにはカラータイマーがありません。一体なぜでしょうか。
それは、デザイン案を担当した成田亨さんの初期の構想を忠実に再現しようとしたからです。
成田亨氏デザインの初期構想ウルトラマンの変遷
元々、成田亨さんがデザインした原作のウルトラマンにはカラータイマーはありませんでした。
それはウルトラマンのコンセプトとして「無駄なものは省き、宇宙人らしく肌なのか服なのかわからないようにしよう」という構想があったからです。
そして誕生したのが「真実と正義と美の化身」ウルトラマンだったのです。
しかし当時特撮はお金がかかるため、ウルトラマンを無制限に戦わすことは予算的に出来ませんでした。そこで初代『ウルトラマン』の企画と脚本を担当した金城哲夫さんから「エネルギー切れ」で数分しか戦えないというアイデアを持ちかけられ、それを象徴するものとしてカラータイマーが生まれたのでした。
成田亨さんは「危なくなったらロボットのようにカラータイマーがピコピコ光る宇宙人というのはおかしい」と反対しましたが、最終的には折れた形となり、カラータイマーが胸に設置されたそうです。
皮肉なことにカラータイマーはその斬新さと分かりやすさから当時の子供に受けてウルトラマンのシンボルとなりました。そしてそれ以降のシリーズでも採用されたのでした。
カラータイマーがない理由は成田亨さんへのリスペクト
『シン・ウルトラマン』では時間制限を設ける必要性がないため、当初の成田亨さんが構想した本来のウルトラマンの姿を再現するべくカラータイマーを外しました。
『庵野秀明さんコメント抜粋』
「我々が『ウルトラマン』というエポックな作品を今一度現代で描く際に、ウルトラマン自身の姿をどう描くのか。その問題の答えは、自ずと決まっていました。それは、成田亨氏の目指した本来の姿を描く。現在のCGでしか描けない、成田氏が望んでいたテイストの再現を目指す事です」
『シン・ウルトラマン』にカラータイマーがない理由には成田亨さんへの熱いリスペクトが込められていたんですね。
➄【ベーターカプセル】で変身できる仕組みを解説!
主人公の神永新二がウルトラマンに変身する際、使用するアイテム「ベーターカプセル」。
本作『シン・ウルトラマン』でも重要なキーアイテムとして登場しますが、皆さんはその仕組みをご存じでしょうか。
ベーターカプセルは巨大・縮小化が本来の使い方
ベーターカプセルとは、ボタンを点火することでベーターシステムが発動し、生物を巨大化または縮小化させることが出来る装置を指します。
知的生命体である外星人には常識となっているアイテムですが、未成熟かつ発展途上の人類にとってはオーバーテクノロジーであり、製造不可能な代物と言われています。
ベーターシステムは別次元「プランクブレーン」を利用した超技術
ベーターシステムは「プランクブレーン」と呼ばれる別次元の空間を利用したシステムのことです。
ベーターカプセルはその別次元を開くための扉の鍵となる役割を果たします。
ベーターカプセル及び、ベーターボックスの核となる赤い球体を起動点火させることで、別次元「プランクブレーン」を開き、対象の生物を巨大化させます。
その際、プランクブレーンから放出された未知の物質が生物を再構築して巨大化させる仕組みになっています。
逆に元の大きさに戻すときは、プランクブレーンに生物を構築している物質を吸収させて縮小させています。
ウルトラマンは宇宙でも前例のない特殊な使い方をしていた!
本来、ベーターカプセルは生物または対象の物体を巨大・縮小化するために使われており、ウルトラマンのように変身するための装置ではありません。
地球に飛来したウルトラマンは事故により神永新二の命を奪ってしまいました。そして神永新二を救うため、ベーターカプセルの仕組みを応用して融合・一体化することを選びます。
ウルトラマンは本体である体を別次元である「プランクブレーン」に格納することで神永二と命を共有し、一体化しています。
そして変身する際には、ベーターカプセルを使って本体を「プランクブレーン」から召喚し、融合することで巨大化するという本来のベーターカプセルの使用方法を応用して変身しているのでした。
【4コマで解説】ベーターカプセルで変身できる仕組み
この特殊な使い方は過去に前例のない使用方法であり、ベーターカプセルの仕組みを利用すれば「知的生命体と他の生命体を融合させることが可能であること」「人類を巨大化させ、生物兵器として転用可能であること」をマルチバースを含む130億を超える知的生命体に知らせてしまいました。
この特殊な使い方がどれほどヤバいものかというと、宇宙の秩序を守る光の星の使者「ゾーフィ」に危険すぎるという理由から天体ごと消滅させられそうになるほどです。
ウルトラマンのあの変身は宇宙の秩序に混乱をもたらすほど特殊な使用方法だったようですね。
人類を生物兵器に転用するって恐ろしいこと考えるなぁ…。
➅【ゼットンの大きさ】を画像で比較!天体を制圧できるほどの威力とは?
『シン・ウルトラマン』劇中で登場した恒星ごと消滅させるほどの力を持つ天体制圧用最終兵器ゼットン。
地球はおろか太陽系をまるごと消滅させられるゼットンはその膨大なエネルギー量もさることながら、その巨体さでも人類に絶望を与えました。その大きさは明言されていませんが、衛星軌道上のゼットンを地上から肉眼で確認できるほどです。
ウルトラマンが人形サイズに思えるほどの巨大さ
天体制圧用最終兵器ゼットンと対峙したウルトラマンですが、その大きさの比率はまるで人間とウルトラマンをみているほどの差がありました。
人間の平均身長を170㎝と仮定した場合、60メートルのウルトラマンは人間の約35倍ほどの大きさであることがわかります。
このことから、ゼットンとウルトラマンの対比も同等とした場合、ゼットンの全長はウルトラマンの約35倍にあたる約2,100メートル以上はあるということになります。
2,100メートル=約2キロメートルがどれほど大きいかというと、スカイツリー(634メートル)約3個分の長さです。ウルトラマンの全長はスカイツリーの大体10分の1程度なので、大きさだけみてもゼットンに対する恐怖が伝わってきますね。
一兆度もの火球を放つその威力は太陽を超えている
ゼットンが放つ1兆度の火球、その威力は太陽が持つエネルギーをはるかに超えています。
1兆度とは、あまり想像のつかない温度ですが、太陽の表面温度が6千度、太陽の中心部の温度ですら1500万度ほどだと言われています。
つまり火球の大きさにもよりますが、ざっと計算すると太陽が放つ熱エネルギーの470兆倍あるということになるんですね。
この火球が地球に放たれた場合、地球は一瞬で蒸発すると言われています。さらに太陽もその熱により膨張、爆発を起こし、太陽系にある水星、金星、火星、木星、土星もろとも蒸発します。その熱エネルギーは太陽系だけでなく、そのほかの無数の天体を滅ぼすほどの威力と言われています。
こんなものを放出しようとしてたとは…。
ゾーフィ恐るべし!!
ゼットンの大きさ画像比較まとめ
ウルトラマンの全長60メートルをはるかに超えるゼットン。その大きさは推定35倍以上あると言われており、2,000メートルを超す巨体です。
ここでは、その大きさをわかりやすく画像で比較しています。参考までにウルトラマンと人間のサイズ比較も載せましたので、よかったらみてくださいね。
人間とウルトラマンの比較
こうしてみるとウルトラマンってすごい大きいんだね。
ウルトラマンとゼットンの比較
今度はウルトラマンが米粒サイズになっちゃった!
ゼットンやばすぎ!!
➆【ゼットンの倒し方】はベーターカプセルにあった!全貌をネタバレ解説
圧倒的な巨大さと強さを見せつけた天体制圧用最終兵器「ゼットン」。
光の星の使者であり裁定者のゾーフィはウルトラマンと神永新二がベーターシステムを応用して融合したことで、人類を巨大化および生物兵器として転用できることを全宇宙に知らしめてしまったと警告します。
そして、外星人による人類争奪戦がまもなく始まることを察知したゾーフィは宇宙の危機となりうる地球を太陽系もろとも滅却することをウルトラマンに告げます。
それが、天体制圧用最終兵器「ゼットン」でした。
ウルトラマンは人類を守るため、地球の衛星軌道上に設置されたゼットンに戦いを挑みます。
しかし一度目の戦いでウルトラマンはゼットンの自動防衛システムの前に手を出すこともできず、迎撃されてしまいました。
落胆する禍特対メンバー。もう人類が生き延びるすべはないかと思われたとき、禍特対のひとり、非粒子物理学者の滝明久がある作戦を提案します。
その作戦とはベーターシステムの基礎原理を応用し、プランクブレーン(別次元)にゼットンを放射される熱エネルギーごと移すというものでした。
ゼットンの倒し方にベーターカプセルを利用するのか!
庵野さんらしい秀逸なアイデアだね!
ゼットンの倒し方手順
- ウルトラマンがゼットンに近づく
↓ - ベーターカプセルを2度点火する
↓ - ベーターシステムが起動し、別次元が開く
↓ - 別次元とつながった際の重力をゼットンに向ける
↓ - その際、1~2秒間だけ余剰次元と熱エネルギーを利用できるようになる
↓ - その力を利用してゼットンを別次元に飛ばす
↓ - ウルトラマンも巻き込まれて並行宇宙に飛ばされる
滝明久の作戦は見事に成功し、地球は危機を乗り越えました。
しかし、代わりに犠牲となったウルトラマンは瀕死の状態で並行宇宙をさまよいます。
そこへゾーフィがやってきて、ウルトラマンの命を救います。
ウルトラマンとゾーフィは対話し、人類の未来を信じることにしました。
「ウルトラマン、そんなに人間が好きになったのか」
この言葉は映画『シン・ウルトラマン』のキャッチコピーにも使われているほど有名な名セリフとなりました。
それにしてもゾーフィのセリフしびれるなぁ。
➇【メフィラス星人】セリフ集!クセになるメフィラス構文を紹介
『シン・ウルトラマン』劇中で個性的な性格と独特の言い回しで注目された山本耕史演じるメフィラス星人。
紳士的で狡猾なメフィラス星人が放つその独特な構文は「メフィラス構文」と名付けられ、ファンの間で話題になりました。
ここではそんなメフィラス星人が放ったインパクトのある「メフィラス構文」を紹介します。
「メフィラス構文」私の好きな言葉です。
「メフィラス構文」名言集
観終わったあとにマネしたくなるね!
メフィラス星人。私の好きな星人です。
➈【ガボラとネロンガとパゴス】が似ているのはあの怪獣が進化したから?
ガボラとネロンガって胴体や体の構造が似ていますよね。パゴスとガボラは顔も似ているし何かつながりがあるのかなぁって思った人も多いのではないでしょうか。
実はこの3体、初代ウルトラマンで『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場した「バラゴン」と呼ばれる怪獣スーツを流用して誕生した怪獣だったんです。当時怪獣スーツは高額だったため、1体作っては改造して別の個体として登場させるなどして業界内で使いまわしていました。
そのため、ガボラにはエリマキトカゲのようなパーツを、ネロンガには角をつけて差別化を図っていますが、元々はどちらも「バラゴン」という怪獣スーツを使用しているので体格や風貌などが似通っているんです。
- 怪獣スーツ流用の時系列
- バラゴン(フランケンシュタイン対地底怪獣)
↓ - パゴス(ウルトラQ)
↓ - ネロンガ(ウルトラマン)
↓ - マグラー(ウルトラマン)
↓ - ガボラ(ウルトラマン)
- バラゴン(フランケンシュタイン対地底怪獣)
ガボラ、ネロンガ、パゴスが似ているのは、初代リスペクトだった
『初代ウルトラマン』でガボラ、ネロンガ、パゴスの3体が「バラゴン」という怪獣スーツを流用していたため、似ているというのは分かったのですが、『シン・ウルトラマン』の禍威獣はすべてCGで作られているのでスーツを流用する必要はありません。
では予算も当時の特撮テレビシリーズと比べれば、ふんだんに使えるはずなのに、なぜこの3体は『シン・ウルトラマン』でも似ているのでしょうか?
庵野秀明氏はウルトラマンの大ファンであることを公言しており『シン・ウルトラマン』を制作する際には『初代ウルトラマン』に敬意を表しています。脚本や本作に散りばめられている小ネタをみても分かる通り、初代ウルトラマンへの愛がうかがえます。
本作『シン・ウルトラマン』で登場したガボラ、ネロンガ、パゴスの3体も『初代ウルトラマン』に合わせて、同じCGモデルを素体として使用したようです。
3体の禍威獣が似ているのは量産型の侵略兵器だったから
制作サイドからみた事情は初代リスペクトからですが、『シン・ウルトラマン』作品内の世界での理由も存在します。
それが、メフィラス陰謀論です。
メフィラス星人はウルトラマンを誘き出すため、地球に眠っていた生物兵器を目覚めさせたと語っています。つまりガボラ、ネロンガ、パゴスの3体も元々は同一の量産型兵器で地球に古くから存在していたということです。
メフィラス星人はそれらの生物兵器を目覚めさせ、ウルトラマンを誘き出すことに成功しました。一説にはザラブ星人もメフィラス星人が送った刺客なのではないかと言われています。
➉【ザラブ星人】が薄い?背中を視認できないって本当?
本作で登場するザラブ星人はデザイナーである成田亨氏が描いたデザイン画を忠実に再現するため、後ろ半分の体を透明にしているんです。着ぐるみでは不可能な薄さにすることで、より異星人としての不気味さを醸し出しているんですね。
そのため『シン・ウルトラマン』でのザラブ星人は横から見ると不自然に薄く、後ろ反面は視認できないという設定になっています。
⑪【ゾーフィ】とゾフィーの違いって何?原作から名前が変わった理由
初代ウルトラマンでのゾフィーは宇宙警備隊の隊長であり、ウルトラ戦士の長兄として頼もしく信頼できる存在でした。体の模様もウルトラマンと同じ銀色の肌に赤い模様でリベット上の突起が肩回りに付いています。
しかし本作『シン・ウルトラマン』では金色の肌に黒い模様であり、名前も「ゾフィー」ではなく「ゾーフィ」として登場します。
なぜ名前が「ゾフィー」から「ゾーフィ」変わっているのでしょうか?
それは庵野秀明氏の遊び心が関係しています。
初代ウルトラマン制作当時、今のようにネットがなかった時代。
情報や資料が正確に広まらず、尾ひれの付いたトンデモ情報が雑誌などで紹介されることが多々ありました。
そんな折、円谷プロが配布した文字資料をある児童誌が勘違いして「ゾフィー」ではなく、「ゾーフィ」として紹介したことが事の始まりです。その児童誌は「ゾフィー」をゼットン星人の情報と混同して「ゼットンを操る謎の宇宙人ゾーフィ」として悪者として紹介してしまったのです。
この誤解はウルトラマンの放送が進むにつれ、なくなっていくのですが、庵野秀明氏がその設定を採用し『シン・ウルトラマン』ではゼットンを操る光の国の使者「ゾーフィ」として登場することになりました。
⑫【ゾーフィ】は敵?ゼットンとの関係や体が金色なのはなぜ?
ゾーフィはウルトラマンと同じ光の星の戦士であり、宇宙の秩序と平和を守る立場であるのに対し、本作でウルトラマンの敵として対峙します。
しかし、ゾーフィは命を賭して地球を守るウルトラマンの姿に心打たれ、最後には地球を消滅するという計画を白紙に戻しました。
元々は、人類のベーターシステムによる巨大化が宇宙全体に知られてしまったことで生物兵器として利用されることを危惧した末の決断だったので、ウルトラマンと完全に敵対しているというわけではありませんでした。そのため『シン・ウルトラマン』でのゾーフィは敵ではないが、味方でもない、あくまで宇宙の秩序を乱すものを排除するという規律を重んじる光の星の使者として登場します。
ゼットンは部下や仲間ではなく、あくまで所有する兵器
『シン・ウルトラマン』で登場する「ゼットン」は天体制圧用最終兵器としてゾーフィが所有しており、起動する権限を有しています。
本作ではゼットンは生物ではありません。天体制圧用最終兵器として登場しているのでゾーフィとの関係性は「上司と部下」もしくは仲間という関係ではなく、「起動権限を所有する責任者と最終兵器」という関係になります。
金色と黒の模様は成田亨原案を参考にしていた
ゾーフィの体の模様やキャラクターデザインは成田亨氏が描いた資料をもとに作られました。
『ウルトラマン神変』としてデザインされたのが左側のデザインです。このデザインは円谷プロとの著作権料の交渉で折り合いが付かなかったため、お蔵入りとなりました。
そして右側のデザインは、『NEXT』という成田亨氏が個人で企画・構想したヒーローデザインですが、こちらも映像化されることはありませんでした。
『シン・ウルトラマン』で登場するゾーフィは成田亨氏の描いた世界を再現するため、このデザインをモチーフに作られているんですね。
⑬【高橋一生】はどこで出演している?実はゾーフィの声を担当していた!
本作『シン・ウルトラマン』に高橋一生さんが出演しているのはご存じでしょうか。
なんと、高橋一生さんは本作で俳優としてではなく、声優としてウルトラマンの声を担当していたんです。
なんとも贅沢な配役ですが、樋口監督からは「人間を超越した感じを出してほしい」と言われ、戸惑ったとのことです。
高橋一生さんはインタビューにて、「ウルトラマンは誰もが一度は憧れるヒーロー、アフレコ中は感動が込み上げてきました。」とコメントしています。
どおりで良い声なわけだ。
⑭【長澤まさみ】が巨大化?!その真相とは?
メフィラスはベーターシステムを組み込んだベーターボックスを持ち込み、日本政府との取引を持ちかけました。この際、デモンストレーションとして長澤まさみ演じる浅見弘子に催眠術をかけて巨大化させたシーンはとても印象的です。
初代ウルトラマンでもフジアキコ隊員が巨大化しているので、今回の長澤まさみさん演じる浅見弘子が巨大化したのはそのオマージュといったところですね。
ちなみに長澤まさみさんの巨大化シーンと下からのぞき込むように撮るカメラアングルがセクハラではないかと話題になりました。個人的にはあまり気にならなかったのですが、観る人が観れば不快感を覚えるシーンだったのかなと思います。難しい時代ですね。皆さんはどう感じましたか?
⑮【竹野内豊】も出演!シンゴジラと同役を演じたつながりとは?
本作『シン・ウルトラマン』にはたくさんの遊び心が散りばめられていました。
なかでも『シン・ゴジラ』に登場した政府の男こと竹野内豊さんが『シン・ウルトラマン』にて同役で出演しています。
メフィラス星人とのベーターボックスを巡る交渉に現れる政府の男という役どころですが、それ以外はパンフレットにも正体が明かされていません。もしかすると『シン・ゴジラ』と『シン・ウルトラマン』の世界はつながっているのかと考えるとワクワクが止まりませんが、どうやらそういった裏設定はないようです。
あくまで、庵野秀明氏の遊び心、ファンサービスの一環といったところですね。
『シン・ウルトラマン』はいろんな遊び心が詰まっているから何度でも観たい作品だね!